30秒でわかる結論
答えは「1つの具体例」で組み立てる。疑義照会も在宅も患者対応も、状況→自分の判断→結果→応募先での活かし方の順で、1件にしぼって話します。
業態と経歴で追加の質問が変わる。ドラッグストアなら登録販売者との分担、病院なら夜勤・当直、ブランクや短期離職があるならその説明を先に用意します。
逆質問は「働く条件の確認」の場でもある。人員体制・処方箋枚数・在宅・教育・異動範囲・残業の実態は、入職後に知って困る前に聞いておきます。家族のことや支持政党など、適性と関係のない質問には答えなくて構いません。
面接の形は業態で違う:応募前に確認しておくこと
薬剤師の選考は、業態によって進み方がかなり違います。ただし同じ業態でも法人ごとに異なるので、下の表は「よくある形」として読み、実際の流れは応募先か、間に入っている転職エージェントに確認してください。
| 業態 | よくある形 | 事前に確認しておくこと |
|---|---|---|
| 調剤薬局 | 店舗見学と面接が同じ日に行われることが多い。面接の相手が管理薬剤師やエリア担当者の場合もある | 見学する店舗が配属予定の店舗か/面接官は誰か/面接は何回か/見学中に調剤室へ入れるか |
| ドラッグストア | 人事担当との面接のあと、店舗見学や店長・薬剤師との面談が入る形がある | 調剤併設店かOTC中心の店舗か/配属店舗が決まっているか/面接で接客の実技があるか |
| 病院 | 面接が複数回になることがある。小論文や筆記試験(薬学の基礎問題など)を課す病院もある | 筆記・小論文の有無と出題範囲/薬剤部長との面接か、看護部や事務も同席するか/見学の可否 |
| 企業 | 書類選考のあと、適性検査や複数回の面接に進む形が一般的。最終面接で役員が出てくることもある | 選考の回数と期間/適性検査や英語の試験の有無/配属部署と職種が確定しているか |
調剤薬局の見学は「面接の前の雑談」ではなく、選考の一部として見られていることがあります。調剤室の動線や薬剤師同士の声かけを見ながら、気づいたことを面接で質問できるよう、メモを取っておくと逆質問の材料になります。
どの業態でも聞かれる質問と、答えの組み立て方
薬剤師の面接で中心になるのは「何をしてきて、ここで何ができるか」です。経験を問う質問には、次の順で答えると短く具体的になります。
- 結論:何の経験か(例:「併用薬による相互作用で疑義照会した経験があります」)
- 状況:いつ、どんな処方・患者だったか
- 自分の判断と行動:何を根拠に、誰に、何をしたか
- 結果:処方がどう変わったか、患者がどうなったか
- 応募先での活かし方:その経験がこの職場のどの業務につながるか
この型は一般的な面接でも使われる考え方で、詳しくは面接の答え方の型(STAR法)にまとめています。ここからは、薬剤師で聞かれやすい質問ごとに、答えの中身を整理します。
転職理由・志望動機
どの面接でも聞かれる質問ですが、答えの作り方は薬剤師の志望動機・転職理由の書き方で、業態別の型と「面接で深掘りされる3つの質問」まで整理しています。面接では書類に書いた内容と食い違わないことが一番大切なので、提出した書類を見ながら口頭で1分程度に縮めて話す練習をしておきます。
疑義照会の経験
薬剤師の面接らしい質問です。薬剤師法第24条は、処方箋に疑わしい点があるときは、処方した医師・歯科医師・獣医師に問い合わせて確かめた後でなければ調剤してはならないと定めています。疑義照会をしたことがあるのは当然の前提なので、面接官が知りたいのは何に気づき、何を根拠に、どう伝えたかという判断の中身です。
【状況】他院から抗菌薬が追加された処方で、薬歴に、別の医療機関で処方されている併用薬の記録がありました。
【根拠】添付文書の相互作用の項で、併用に注意が必要な組み合わせであることを確認しました。
【行動】処方医に、併用薬の名称と用量、添付文書の記載を伝え、代替薬の候補を添えて問い合わせました。
【結果】処方が変更になり、患者さんには変更の理由を説明しました。以後、お薬手帳の確認を初回来局時に徹底するよう店舗内で共有しました。
※実際に話すときは、自分が経験した処方の内容に置き換えてください。患者が特定される情報(氏名・年齢・病院名など)は出しません。
件数を聞かれた場合に備えて、月に何件くらい照会していたか、どの診療科の処方で多かったかも整理しておきます。正確な記録がなければ「おおよそ」と断ったうえで答えれば構いません。また、照会の結果、処方が変わらなかった例を話しても問題ありません。根拠を示して確認したことに意味があるためです。
在宅の経験
在宅に力を入れている薬局では、まず聞かれると考えて準備しておきます。答えるときに整理しておきたいのは次の項目です。
- 担当した件数と、居宅か施設かの別
- 訪問の頻度と、1回の訪問で何をしていたか(残薬確認、服薬状況の確認、一包化や剤形変更の提案など)
- 医師・ケアマネジャー・訪問看護師との情報共有の方法(報告書、カンファレンス、電話など)
- 緊急時や夜間休日の対応に関わったかどうか
在宅の経験がない場合は、ないことをはっきり伝えたうえで、近い経験(施設からの処方への対応、一包化や残薬調整の提案、服薬期間中の電話フォローなど)と、入職後に同行から始めたいという意思を伝えます。薬剤師法第25条の2第2項は、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合に、患者の使用状況を継続的かつ的確に把握し、情報提供と指導を行うことを薬剤師の義務としています。服薬期間中のフォローの経験は、在宅の経験がなくても話せる材料になります。
患者対応で困った事例
クレーム対応の上手さを競う質問ではありません。見られているのは、感情的にならずに事実を確認できるか、自分で抱え込まずに相談・共有できるかです。
【状況】待ち時間が長いことに強い不満を示された患者さんがいました。
【行動】まずお待たせしていることをお詫びし、調剤に時間がかかっている理由(在庫の確認と処方医への問い合わせ中であること)と、あと何分ほどかかるかをお伝えしました。
【結果】その場は納得していただき、その後、待ち時間の目安を受付で伝える運用を店舗内で提案しました。
※「困った事例」は失敗談でも構いません。そのあと何を変えたかまで話せることが大切です。
多職種連携
医師への処方提案、看護師との情報共有、ケアマネジャーへの報告、病院であれば病棟カンファレンスや栄養サポートなどのチームへの参加が該当します。「連携しました」ではなく、誰に、どんな情報を、どの手段で渡し、その結果何が変わったかまで話すと、具体性が伝わります。薬局勤務で連携の機会が少なかった場合は、トレーシングレポート(緊急性の低い情報を処方医に文書で伝える仕組み)や、お薬手帳を通じた情報共有の経験でも構いません。
管理薬剤師の経験
管理薬剤師の経験は、法令上の職務に沿って話すと範囲が正確に伝わります。薬機法第8条は、薬局の管理者の義務として、従業者の監督、構造設備や医薬品その他の物品の管理、その他薬局の業務についての注意(第1項)と、薬局開設者に対して書面で必要な意見を述べること(第2項)を定めています。この3つの枠で、自分が実際に担当していたことを1つずつ挙げます。書き方の記入例は薬剤師の職務経歴書の書き方にあるので、面接ではそれを口頭で説明できるようにしておきます。
応募先で管理薬剤師の候補として見られている場合、「管理薬剤師をやりたいか」を直接聞かれることもあります。希望する・しないのどちらでも構いませんが、しない場合は理由(まず現場の業務に慣れたい、など)と、いつ頃なら検討できるかを添えると、採用側も配置を考えやすくなります。
通勤・勤務条件・残業・異動の可否
条件に関する質問には、できること・できないことを先に数字で答えます。曖昧に「大丈夫です」と答えると、入職後に食い違いが起きます。
| 聞かれ方 | 答え方の例 |
|---|---|
| 通勤時間は大丈夫ですか | 「電車で片道約40分です。応援で別店舗に入る場合も、片道1時間以内であれば対応できます」 |
| 残業はできますか | 「繁忙期の残業は想定しています。保育園の迎えがあるため、平日は19時までに退勤できる日を週3日以上確保したいです」 |
| 土日の勤務は可能ですか | 「土曜は隔週で勤務できます。日曜は家族の事情で難しいです」 |
| 異動の可能性がありますが | 「通勤圏内の店舗であれば異動は問題ありません。転居をともなう異動は、現時点では難しいです」 |
※表の答え方は記入例です。時間や回数は自分の事情に合わせて置き換えてください。
家庭の事情をどこまで話すかは自分で決めて構いません。話す場合も「勤務できる曜日と時間」の形にして伝えれば十分で、理由を詳しく説明する必要はありません。
いつから働けるか
在職中なら、現職の就業規則の退職の申し出期限と、引き継ぎに必要な期間から逆算して答えます。期間の定めのない雇用であれば、民法第627条第1項により解約の申入れから2週間で雇用は終了しますが、実務では就業規則で定めた申し出期限に沿って調整するのが一般的です。「内定をいただいてから1か月半ほどで入職できます。現職の就業規則で退職の申し出は1か月前とされているため、その日程で調整します」のように、根拠を添えて答えると信頼されます。入社日の交渉のしかたは入社日の交渉のしかたで整理しています。
業態別:追加で聞かれやすい質問
共通の質問に加えて、業態ごとに次のような質問が加わります。答えの準備として何を整理しておくかを並べました。
| 業態 | 聞かれやすい質問 | 準備しておくこと |
|---|---|---|
| 調剤薬局 | 扱ってきた診療科は/1日の処方箋枚数と薬剤師の人数は/在宅は担当していたか/使っていたレセコン・電子薬歴は | 応需科目と頻用薬、1日あたりの処方箋枚数と体制、在宅の件数、システムの製品名 |
| ドラッグストア | OTCの相談にどう対応するか/登録販売者とどう分担するか/接客や売場づくりに抵抗はないか/受診を勧める判断の基準は | OTCの相談で受診を勧めた例、第一類医薬品の販売手順、品出しやレジなど店舗業務への考え方 |
| 病院 | 病棟業務の経験は/夜勤や当直に入れるか/チーム医療で何をしたか/注射薬の調製や無菌製剤の経験は/関心のある領域は | 担当した病棟と業務内容、当直の可否と回数の希望、参加したチーム、目指したい専門・認定資格 |
| 企業 | 志望する職種で何をすると理解しているか/臨床の経験をどう活かすか/文書作成の経験は/英語の読み書きは/なぜ現場を離れるのか | 職種の業務内容(DI・学術・安全性情報・開発・CRA・CRCなど)の下調べ、作成した資料の例、英語論文や添付文書の英文を読んだ経験 |
ドラッグストア:登録販売者との分担は法律で決まっている
ドラッグストアの面接で「登録販売者とどう協力するか」を聞かれたら、まず役割の線引きを正確に押さえておきます。薬機法第36条の9により、一般用医薬品のうち第一類医薬品は薬剤師が、第二類・第三類医薬品は薬剤師または登録販売者が販売することとされています。また第36条の10第1項により、第一類医薬品を販売するときは、薬剤師が書面を用いて必要な情報を提供することが求められます。
この線引きを踏まえて、「第一類の販売と、登録販売者から受けた相談のうち判断に迷うものへの対応は自分が担い、それ以外は登録販売者の判断を尊重する」といった形で、分担のイメージを話せると具体的です。調剤経験しかない場合は、服薬指導で生活習慣や市販薬の併用を確認してきた経験を、OTCの相談対応につながる材料として話します。
病院:夜勤・当直の可否は正直に
病院では、夜勤や当直に入れるかどうかが配置に直結します。入れない、または回数に上限がある場合は、面接の段階ではっきり伝えてください。入職後に「できない」と言うほうが、職場との関係に響きます。当直の体制(1人当直か複数か、オンコールか)は病院ごとに違うので、逆質問で確認しておきます。
企業:「なぜ現場を離れるのか」に答えを用意する
企業への応募では、臨床から離れる理由を聞かれることが多くあります。「現場が合わなかった」ではなく、「疑義照会や問い合わせ対応で添付文書やインタビューフォームを読み込むうちに、情報をつくる側・整理する側の仕事に関わりたいと考えた」のように、現場での経験からつながる動機にします。英語や文書作成の経験は、使った場面と頻度で答えます(例:「海外の論文を月に数本読み、勉強会の資料にまとめていました」)。
経歴別:説明が必要な経歴の答え方
経歴に気になる点がある場合、面接官はそこを確認しようとします。隠すより、事実→その間にしたこと→いまの状況の順で、短く先に話してしまうほうが評価は安定します。
| 経歴 | 面接官が確認したいこと | 答え方の型(例) |
|---|---|---|
| ブランクがある | 現場の知識が古くなっていないか/勤務を続けられる状況か | 「育児のため約3年離れていました。復帰に向けて、研修認定の単位取得と、改定後の調剤報酬の確認を進めています。子どもの預け先が決まり、平日の日中は継続して勤務できます」 |
| 短期離職がある | 同じ理由でまた辞めないか | 「前職は入職時の説明と異なり、配属店舗が通勤2時間の店舗に変わったため、半年で退職しました。今回は配属店舗と異動範囲を事前に確認したうえで応募しています」 |
| 業態をまたぐ | 新しい業態の仕事を理解しているか/何から覚えるつもりか | 「病院では持参薬の鑑別と病棟での服薬指導を担当していました。薬局では保険請求とOTCの知識が不足しているので、入職後の3か月で算定要件と頻用OTCの把握を優先します」 |
| 年齢が高い | 年下の上司や新しいシステムに適応できるか/何年働くつもりか | 「管理職の経験はありますが、応募先では一薬剤師として業務に入るつもりです。電子薬歴は前職で2種類使っており、新しいシステムにも慣れています」 |
※答え方の型の期間・数字は記入例です。自分の経歴に置き換えてください。
短期離職の理由に前職の問題があった場合でも、批判ではなく事実と、次で同じことを避けるために確認したことの形にします。年齢については、労働施策総合推進法第9条により、事業主は労働者の募集・採用で年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないとされています(例外は厚生労働省令で定める場合)。面接で年齢そのものを理由に不利な扱いを受ける筋合いはありませんが、年齢から推測される懸念(柔軟性・継続勤務の見通し)には、先回りして具体的な事実で答えておくのが実践的です。
2026年度調剤報酬改定について聞かれたら
調剤薬局やドラッグストアの面接では、「今回の改定をどう受け止めていますか」と聞かれることがあります。点数の暗記を求めているのではなく、制度の変化を業務に結びつけて考えているかを見ています。2026年(令和8年)6月施行の改定で、厚生労働省の資料に示された主なポイントのうち、面接で話題にしやすいのは次のような点です。
- かかりつけ薬剤師:かかりつけ薬剤師指導料・かかりつけ薬剤師包括管理料が廃止され、電話等による患者フォローアップや残薬調整に係る患家訪問など、かかりつけ薬剤師としての服薬管理指導の実務を評価する形に変わった
- 体制の評価:地域支援体制加算が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に改称され評価が見直された。後発医薬品調剤体制加算は撤廃された
- 在宅:在宅訪問薬剤管理指導料の算定間隔が「中6日以上」から「週1回」に見直され、医師と薬剤師が患家へ同時訪問した場合や、複数名で訪問した場合の評価が新設された
- 対人業務・残薬:残薬対策の強化を目的に要件と評価が見直され、処方箋上で残薬量を勘案した減数調剤の指示ができる様式に改められた。吸入薬指導加算の対象にインフルエンザの吸入薬が追加された
「かかりつけ薬剤師の評価が、包括的な点数から、電話でのフォローアップや残薬調整の訪問といった実務を評価する形に変わったと理解しています。現職でも服薬期間中の電話確認を担当しており、何を確認してどう記録するかの手順を持っているので、貴社でもその実務の部分から貢献できると考えています。」
大切なのは、自分の業務に関わる変更を1つか2つに絞ることです。全体を浅くなぞるより、在宅を担当していたなら在宅の変更、かかりつけをしていたならかかりつけの変更を、自分の経験と結びつけて話すほうが伝わります。かかりつけ薬剤師の要件が転職の前後でどう変わるかは、職務経歴書の記事の改定の章で表にしています。
逆質問のリストと聞き方
「何か質問はありますか」は、入職後のミスマッチを防ぐための最後の機会です。薬剤師の場合、求人票だけではわからない現場の実態を聞いておくことが特に重要です。
| 確認したいこと | 聞き方の例 | 答えから読むこと |
|---|---|---|
| 人員体制 | 「配属予定の店舗は、薬剤師と事務の方が何名ずつの体制でしょうか」 | 休憩や休みを取るときに回るか。1人薬剤師の時間帯があるか |
| 処方箋枚数 | 「1日の処方箋の枚数と、混み合う曜日・時間帯を教えてください」 | 体制に対して業務量が過大でないか |
| 在宅 | 「在宅は居宅と施設でそれぞれ何件ほどあり、入職後どのくらいで担当することになりますか」 | やりたい業務(またはやりたくない業務)が実際にあるか |
| 教育体制 | 「入職後の研修や、独り立ちまでの期間の目安はありますか」 | ブランクや業態変更でも立ち上がれる仕組みがあるか |
| 異動の範囲 | 「異動がある場合、どの範囲の店舗が対象になりますか。応援勤務はどのくらいの頻度でありますか」 | 通勤や生活に無理が出ないか |
| 残業の実態 | 「閉局後の業務は通常どのくらいかかりますか。薬歴の記載は勤務時間内に終わっていますか」 | 求人票の「残業少なめ」が実態と合っているか |
聞き方のコツは、「多いですか」ではなく「何名ですか」「何件ですか」と数を聞くことです。「残業は多いですか」と聞けば「そんなにないですよ」で終わりますが、閉局後の業務時間を聞けば具体的な答えが返ってきます。一般的な逆質問の作り方は転職面接の逆質問の例と選び方にまとめています。
給与・休日など条件面は、いつ・どう確認するか
条件面を聞くこと自体は失礼ではありません。職業安定法第5条の3は、募集や職業紹介にあたって、従事すべき業務の内容と賃金・労働時間その他の労働条件を明示することを求めています。さらに同法施行規則第4条の2第3項では、書面などで明示すべき事項として、業務の内容の変更の範囲、就業の場所の変更の範囲、所定労働時間を超える労働の有無、休日、賃金の額などが挙げられています。異動の範囲や残業の有無は、本来求人の段階で示されるべき情報です。
そのうえで、確認のタイミングは次のように分けると話が進みやすくなります。
- 一次面接・見学:業務内容と体制の質問を中心にし、条件は求人票の記載と違いがないかを確認する程度にとどめる
- 二次面接・最終面接の後半:休日の取り方、残業代の扱い、異動の範囲など、働き方に直結する条件を確認する
- 内定前後の条件確認:給与の額、賞与、手当、入職日を、書面(労働条件通知書など)で確認する。口頭で聞いた内容と違えば、その場で質問する
給与の希望額を聞かれたら、現在の年収と希望額をセットで答えます(例:「現在は賞与込みで年収◯◯万円です。業務範囲が広がることを踏まえ、◯◯万円程度を希望しています」)。希望額の根拠になる相場は、次の公的統計で確認できます。交渉の進め方は年収交渉の進め方を参考にしてください。
転職判断の物差し
薬剤師の賃金・労働時間・求人倍率
賃金・労働時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(一般労働者・男女計・企業規模10人以上)、求人倍率と求人票の月給は同省の職業情報提供サイト job tag に掲載のハローワーク求人統計(令和7年度)。年収は「残業代込みの月給×12+年間賞与」の換算値です。
1. 平均の姿(この職種で働く人の真ん中あたり)
| 項目 | 薬剤師 |
|---|---|
| 年収(換算) | 567万円 |
| 残業代込みの月給 | 39.9万円 |
| 残業代を除いた月給 | 37万円 |
| 年間賞与 | 88.4万円 |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 平均勤続年数 | 8.6年 |
| 月の所定内労働時間 | 157時間 |
| 月の残業時間 | 10時間 |
| 集計対象の労働者数 | 94,850人 |
| 有効求人倍率(令和7年度) | 3.12倍 |
| 求人票の月給(ハローワーク平均) | 36.2万円 |
求人票の月給は、ハローワーク求人に書かれた賃金(下限と上限の中間値)の平均で、残業代や賞与を含みません。「残業代込みの月給」より低く出るのが普通です。求人倍率は求職者1人あたりの求人数で、1倍を大きく超えるほど「選ぶ側」に立てます(全職業の平均は1.1倍・令和7年度・職業別集計の職業計)。
2. 会社の規模で変わる額(同じ職種でもここが分かれ目)
| 職種 | 企業規模 | 年収(換算) | 残業代込みの月給 | 年間賞与 | 月の残業 | 平均勤続 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 薬剤師 | 1,000人以上 | 565万円 | 39.2万円 | 94万円 | 13時間 | 7.2年 |
| 100〜999人 | 563万円 | 39.3万円 | 90.9万円 | 7時間 | 11.4年 | |
| 10〜99人 | 587万円 | 44.3万円 | 55.2万円 | 6時間 | 7.7年 |
3. 年齢別の年収(換算・万円)— 自分の年齢帯の列を見る
| 職種 | 20-24 | 25-29 | 30-34 | 35-39 | 40-44 | 45-49 | 50-54 | 55-59 | 60-64 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 薬剤師 | 408 | 495 | 533 | 598 | 595 | 676 | 643 | 657 | 550 |
4. 経験年数別の月給(残業代を除く・万円)— 転職直後に提示されやすい帯
| 職種 | 0年 | 1〜4年 | 5〜9年 | 10〜14年 | 15年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 薬剤師 | 33.6 | 33.4 | 35.3 | 37.2 | 41.8 |
「経験年数」はその職種での通算年数で、会社を変えてもリセットされません。「0年」はその職種に就いたばかりの人の額です。
この数字の読み方
- 面接で希望年収を聞かれたときは、表3で自分の年齢帯の年収を、表4で経験年数の月給を確認し、現年収と並べて答える材料にします。経験年数は会社を変えても通算されます。
- 表2の「月の残業」は、1,000人以上の企業で長く、10〜99人の企業で短い形になっています。逆質問で応募先の残業の実態を聞いたら、この平均と比べて読みます。
出典・取得日
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表・第5表・第14表(e-Stat) (2026年3月24日公表)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag(ハローワーク求人統計データ 令和7年度) (職業ごとの求人賃金・有効求人倍率)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表 (職業別の有効求人倍率)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」 (産業別の労働時間・出勤日数)
取得日 2026年10月18日。統計の職業区分は記事の職種と完全には一致しません。各社の求人票の数字を読むための物差しとして使ってください。
面接で答えなくてよい質問と、その返し方
面接では、仕事の能力と関係のない質問をされることがまだあります。職業安定法第5条の5は、求人者や職業紹介事業者などが求職者の個人情報を集めたり使ったりするときは、業務の目的の達成に必要な範囲内で、目的を明らかにして行わなければならないと定めています(本人の同意がある場合など正当な事由がある場合を除く)。転職エージェントを通した応募でも、エージェント(職業紹介事業者)と応募先(求人者)の両方がこの規定の対象です。
厚生労働省のサイト「公正な採用選考の基本」は、採用選考を応募者の適性・能力に基づいて行うこととし、本人に責任のない事項や、本来自由であるべき思想・信条にかかわる事項を採用基準にしないよう求めています。同サイトの採用選考時に配慮すべき事項では、就職差別につながるおそれがある事項として、次のようなものを挙げています(これらに限られるわけではないとされています)。
| 区分 | 具体的な事項 |
|---|---|
| 本人に責任のない事項 | 本籍・出生地/住宅状況(間取り・部屋数・住宅の種類など)/家族のこと(職業・続柄・健康・病歴・地位・学歴・収入・資産など)/生活環境・家庭環境 |
| 本来自由であるべき事項 | 宗教/人生観・生活信条/思想/購読新聞・雑誌・愛読書/支持政党/尊敬する人物/労働組合や社会運動に関すること |
| 採用選考の方法 | 身元調査など/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断/適性・能力に関係のない事項を含む応募書類の使用 |
こうした質問は、面接官が場をなごませるつもりで聞いてしまうこともあります。答えないことで角が立つのが心配な場合は、次のような返し方が使えます。
家族の職業を聞かれたとき:「家族のことは控えさせていただけますか。勤務できる曜日や時間など、仕事に関わることでしたらお答えします」
支持政党や選挙について聞かれたとき:「個人の考えに関わることなので、お答えは控えさせてください」
愛読書や尊敬する人物を聞かれたとき:「業務に関わる本でしたら、最近は在宅医療の実務書を読んでいます」のように、仕事の話に置き換える
質問の意図がわからないとき:「差し支えなければ、どういった点を確認されたいか伺ってもよろしいですか」
厚生労働省の求職者向けのページでは、こうした質問を受けた場合の相談先として、最寄りのハローワーク(公共職業安定所)と都道府県労働局を案内しています。転職エージェント経由の応募であれば、担当者に伝えて応募先へ確認してもらう方法もあります。
見学・オンライン面接の持ち物と服装
一般的な準備は短く済ませて構いません。薬剤師の面接で気をつけたいのは次の点です。
- 服装:スーツが無難です。調剤薬局の見学で調剤室に入る場合に備えて、髪をまとめられるようにし、香水や強い香りの整髪料は避けます
- 持ち物:応募書類の控え、薬剤師免許証の写し(求められた場合)、筆記用具とメモ帳、応募先の店舗情報や求人票の印刷、逆質問のメモ
- オンライン面接:カメラの位置と照明、通信の安定、背景に個人情報が映り込まないかを前日までに確認します。手元に書類の控えを置き、話す内容が書類と食い違わないようにします。詳しくはWeb面接の対策にまとめています
面接前日のチェックリスト
- 提出した履歴書・職務経歴書を読み返し、書いた件数・期間・システム名を口頭で答えられるか
- 転職理由と志望動機を、それぞれ1分程度で話せるか
- 疑義照会・在宅・患者対応・多職種連携の具体例を、各1件ずつ用意したか
- 応募先の業態で追加されやすい質問(OTC・登録販売者との分担/夜勤・当直/志望職種の理解)への答えを用意したか
- ブランク・短期離職・業態変更など、説明が必要な経歴の答えを「事実→その間にしたこと→いまの状況」で用意したか
- 改定のうち自分の業務に関わる変更を1〜2つ、自分の経験と結びつけて話せるか
- 勤務できる曜日・時間、通勤の上限、異動の可否、入職可能日を数字で答えられるか
- 逆質問を3つ以上(人員体制・処方箋枚数・在宅・教育・異動・残業から)用意したか
- 面接の形式(見学の有無・筆記の有無・面接官・回数)を確認したか
- 当日の持ち物と、会場までの経路・所要時間を確認したか
あわせて読みたい薬剤師の転職記事
- 薬剤師の転職ガイド(記事一覧)
- 薬剤師の志望動機・転職理由の書き方 — 業態別の型と、面接で深掘りされる3つの質問
- 薬剤師の職務経歴書の書き方 — 改定後のかかりつけ要件、管理薬剤師の書き方
- 薬剤師の派遣・パートという選択肢 — 派遣で働ける場所の線引きと期間の制限
よくある質問
薬剤師の転職面接では、どんな質問がよく聞かれますか?
業態を問わず準備しておきたいのは、転職理由と志望動機、疑義照会の経験、在宅の経験、患者対応で困った事例、多職種連携、管理薬剤師の経験、通勤や残業・異動など勤務条件、いつから働けるか、の8つです。これに加えて、調剤薬局なら応需科目や在宅、ドラッグストアならOTCの相談対応や登録販売者との分担、病院なら病棟業務や夜勤・当直、企業なら志望職種の理解や文書作成の経験が聞かれやすくなります。
疑義照会の経験を聞かれたら、どう答えればいいですか?
1件の具体例にしぼり、どんな処方だったか、何を根拠に疑わしいと判断したか、医師に何をどう伝えたか、結果どうなったかの順で話します。根拠には、添付文書の用法・用量や禁忌、薬歴にある併用薬・検査値・アレルギー歴などを挙げます。薬剤師法第24条は、処方箋に疑わしい点があるときは処方医に問い合わせて確かめた後でなければ調剤してはならないと定めているので、「確認したかどうか」ではなく「何に気づき、どう判断したか」が評価されます。
逆質問で給与や休日のことを聞いてもいいですか?
聞いて構いません。ただし一次面接の最初に条件だけを聞くより、業務内容や体制についての質問を先にし、条件面は面接の後半か、内定前の条件確認の場で確かめるほうが話が進みやすくなります。業務内容の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、所定労働時間を超える労働の有無などは、職業安定法と同法施行規則で求人側が明示すべき事項とされているので、確認すること自体に遠慮はいりません。
面接で家族の職業や支持政党を聞かれたら、答えなければいけませんか?
答える必要はありません。厚生労働省は、本籍・出生地、家族の職業や学歴・収入、住宅状況、宗教、支持政党、愛読書、尊敬する人物などを、応募者の適性・能力に関係がなく就職差別につながるおそれがある事項として示しています。「勤務に関わることでしたらお答えします」のように、質問の意図を確かめながら勤務条件の話に戻すのが穏当です。気になる質問があった場合は、ハローワークや都道府県労働局に相談できます。
2026年度の調剤報酬改定について聞かれたら、どこまで話せればいいですか?
細かな点数まで暗記する必要はありません。かかりつけ薬剤師指導料と包括管理料が廃止されて実務を評価する形に変わったこと、地域支援体制加算が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」に改称されたこと、後発医薬品調剤体制加算が撤廃されたこと、在宅訪問薬剤管理指導料の算定間隔が「中6日以上」から「週1回」に見直されたことなど、自分の業務に関わる変更を1つか2つ挙げ、それに対して自分が何をしてきたか・応募先で何ができるかを話せれば十分です。
参考: e-Gov法令検索「薬剤師法」第24条・第25条の2/ 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第8条・第36条の9・第36条の10/ 「職業安定法」第5条の3・第5条の5/ 「職業安定法施行規則」第4条の2/ 「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第9条/ 「民法」第627条/ 厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」/ 厚生労働省「公正な採用選考をめざして」