当ページには広告(PR)が含まれます
転職活動Tips 19分で読める

管理薬剤師の転職|法律上の責任、求人で確認すること、辞めるときの手順

管理薬剤師は、薬機法で義務と兼務の制限が定められた「薬局の管理者」です。第7条・第8条の条文で責任の範囲を確認し、薬局以外の管理者との違い、一人薬剤師・兼務・手当・休日の代替体制など求人で確認すること、面接での伝え方、管理者変更の届出(30日以内)と引き継ぎ、退職の申し出時期までまとめました。

30秒でわかる結論

管理薬剤師は、薬局開設者が指定する「薬局の管理者」。従業者の監督、構造設備と医薬品の管理、開設者への書面での意見申述が法律上の義務で、他の場所で薬事の実務に就くには都道府県知事の許可が要ります。

求人は手当の額より先に体制を見る。一人薬剤師か、応援や兼務があるか、休みの日に誰が入るか、本部が意見をどう受け止めるかで、同じ手当でも負担がまるで違います。

辞めるとき、後任の指定と変更届は開設者の仕事。自分がやるのは、早めの申し出と、帳簿・麻薬・向精神薬の記録を含めた引き継ぎです。

この記事は、「管理薬剤師を任される求人に応募したい人」と「いま管理薬剤師で、転職や退職を考えている人」の両方に向けて書いています。管理薬剤師は、ほかの薬剤師と違って法律で義務と制限が決まっている立場です。条文の中身を知っておくと、求人票のどこを見ればいいか、面接で何を聞けばいいか、辞めるときに何を引き継げばいいかが具体的になります。

管理薬剤師とは:薬機法が決めていること

「管理薬剤師」は現場での呼び名で、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では「薬局の管理者」といいます。主な規定は第7条から第10条にまとまっています。

指定するのは薬局開設者

第7条第1項は、薬局開設者(薬局の開設許可を受けた人や法人)が薬剤師であれば自らその薬局を実地に管理し、その薬局で働く別の薬剤師を管理者に指定することもできる、と定めています。第2項は、開設者が薬剤師でない場合(会社が開設しているチェーン薬局など)には、その薬局で薬事に関する実務に従事する薬剤師のうちから管理者を指定して実地に管理させなければならないと定めています。

つまり、管理者を置く義務を負っているのは開設者です。この点は、後で説明する「辞めるとき」の考え方に直結します。

「必要な能力及び経験」と、経験年数の目安

第7条第3項は、薬局の管理者は、第8条の義務と厚生労働省令で定める業務を遂行するために「必要な能力及び経験を有する者でなければならない」と定めています。この項は2021年8月1日施行の改正で加わりました。

条文には年数が書かれていません。目安を示しているのは、厚生労働省の「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」(2021年6月25日)です。同ガイドラインは、開設者が管理者を選ぶ際、原則として薬局での実務経験が少なくとも5年あり、薬剤師認定制度認証機構などが認証した制度で認定された薬剤師であることが重要だとしています。法律上の資格要件ではなく、開設者が選任の判断に使う目安という位置づけです。

また、2026年度の調剤報酬改定後の「地域支援・医薬品供給対応体制加算」には、施設基準の一つとして管理薬剤師の要件(薬局経験5年以上、週31時間以上勤務、当該薬局に1年以上在籍)があります。この加算を届け出ている薬局では、管理薬剤師の経歴と在籍期間そのものが薬局の体制に関わります。

ほかの場所で薬事の実務に就けない

第7条第4項は、薬局の管理者はその薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事する者であってはならないと定めています。例外は、その薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合だけです。系列の別店舗への応援勤務、休日に別の薬局でのアルバイト、派遣登録での掛け持ちは、許可がなければこの規定に触れます。

2026年7月30日には、管理者がその薬局以外の場所で実務に従事し、さらに従事先で記録を怠って調剤の責任の所在が不明確になった違反事案が複数見つかったとして、厚生労働省が都道府県等に周知の徹底を求める通知(医薬総発0730第3号・医薬監麻発0730第9号)を出しています。兼務が認められる範囲の例として、たとえば愛媛県の審査基準は、非常勤の学校薬剤師を兼ねる場合、営業時間外に地域の輪番制の調剤業務に従事する場合、へき地で管理者の確保が難しい場合などを挙げています。

管理者の義務:条文と施行規則の中身

根拠 定められている内容
薬機法 第8条第1項保健衛生上支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督し、構造設備と医薬品その他の物品を管理し、その他薬局の業務について必要な注意をする
薬機法 第8条第2項薬局の業務について、薬局開設者に対し必要な意見を書面により述べる(2021年8月1日施行の改正で「書面により」が加わった)
施行規則 第11条第1項管理者の業務:開設者から与えられた権限に係る業務、医薬品の試験検査とその結果の確認、薬局の管理に関する帳簿の記載、特定生物由来製品に関する記録の保存
施行規則 第11条第2項管理者の遵守事項:従業者の監督・物品の管理に加え、薬局の業務に係るサイバーセキュリティの確保に必要な措置を講じること。開設者に述べた意見の書面の写しを3年間保存すること
施行規則 第13条管理者は、試験検査、不良品の処理その他薬局の管理に関する事項を帳簿に記載する(帳簿は開設者が最終記載日から3年間保存)

開設者の側にも義務がある

管理者の意見は、言いっぱなしで終わる仕組みにはなっていません。第9条第2項は、開設者は管理者の意見を尊重し、法令遵守のために措置が必要なときは措置を講じ、講じた措置の内容(講じない場合はその旨と理由)を記録して保存しなければならないと定めています。第9条の2は開設者に法令遵守体制の整備を義務づけており、施行規則第15条の11の2第1号は、その措置として管理者の権限(従業者への業務の指示・監督の権限など)を明らかにすることを求めています。

求人を見るときは、この「権限が明確になっているか」「意見を書面で受け付けて検討する窓口があるか」が、管理薬剤師として働きやすいかどうかの手がかりになります。

薬局以外の「管理者」との違い

薬剤師が就く「管理者」は薬局だけではありません。業態を変えて転職する場合、似た名前でも資格要件が違います。いずれも条文に「必要な能力及び経験を有する者でなければならない」という規定と、他の場所での兼務を制限する規定があります。

名称 根拠 なれる人(条文どおり)
薬局の管理者薬機法 第7条その薬局で薬事に関する実務に従事する薬剤師
店舗管理者
(ドラッグストアなど店舗販売業)
薬機法 第28条
施行規則 第140条
要指導医薬品・第一類医薬品を扱う店舗は薬剤師(第一類医薬品の店舗で薬剤師を店舗管理者にできない場合は、過去5年間に第一類医薬品を扱う薬局・店舗などで通算3年以上従事した登録販売者も可。その場合は補佐する薬剤師を置く=第141条)。第二類・第三類医薬品の店舗は薬剤師、または従事期間の要件を満たす登録販売者
医薬品営業所管理者
(卸売販売業)
薬機法 第35条
施行規則 第154条
営業所ごとに薬剤師。ただし医療用ガス類・歯科用医薬品など厚生労働大臣が指定するものだけを扱う場合は、学歴・業務経験の要件を満たす薬剤師以外の者も可
医薬品製造管理者
(製造業)
薬機法 第17条第5項・第6項製造所ごとに薬剤師。薬剤師を必要としない医薬品の製造、保管のみ、薬剤師を置くことが著しく困難な場合などは、省令の定めにより薬剤師以外の技術者で代えられる。兼務の許可は厚生労働大臣
医薬品等総括製造販売責任者
(製造販売業)
薬機法 第17条第1項・第2項医薬品の製造販売業者は薬剤師(省令で定める場合は薬剤師以外の技術者で代えられる)。品質管理と製造販売後安全管理を担う
麻薬管理者
(病院・診療所)
麻薬及び向精神薬取締法 第3条・第33条医師・歯科医師・獣医師・薬剤師で都道府県知事の免許を受けた者。2人以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設に置く。薬局の管理者とは別の制度

ドラッグストアの店舗管理者や卸の営業所管理者の求人も「管理薬剤師」と書かれることがあります。応募先がどの許可にもとづく管理者なのかを確認すると、担う業務の範囲が見えます。前出のガイドラインは、店舗管理者や医薬品営業所管理者が薬剤師の場合も、薬局の管理者と同様に実務経験と認定が重要だとしています。

管理薬剤師の求人で確認すること

管理薬剤師の求人は、手当の額で比べがちです。しかし負担の大きさを決めるのは体制のほうです。面接や条件面談で、次の項目を確認してください。

確認項目 なぜ確認するか 聞き方の例
一人薬剤師か体制省令(薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令)第1条は、開店時間内は常時その薬局に調剤に従事する薬剤師が勤務していること、薬剤師の員数は1日平均取扱処方箋数を40で割った数以上(眼科・耳鼻咽喉科・歯科の処方箋は3分の2で計算)であることを求めています。処方箋が少ない薬局では薬剤師1人の体制もありえます「1日の処方箋枚数と、時間帯ごとの薬剤師の人数を教えてください」
休日の代替体制開店時間内は薬剤師が常時必要なので、一人薬剤師の薬局では管理薬剤師が休む日に誰が入るかが決まっていないと、休みが取れません「有給休暇や急な休みのとき、どなたが勤務に入りますか」
応援・兼務の有無管理者は知事の許可なく他の場所で薬事の実務に就けません(第7条第4項)。系列店への応援が前提になっていないかを確認します「管理薬剤師が他店舗の応援に入ることはありますか。その場合の許可の扱いは」
手当と給与の内訳管理薬剤師手当が基本給に組み込まれているか別建てかで、賞与や退職金の計算の基礎が変わることがあります「管理薬剤師手当は基本給とは別ですか。賞与の算定基礎に含まれますか」
残業代の扱い管理薬剤師を労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」として扱い、労働時間・休日の規定を適用しない扱いにしているか、手当に固定残業代が含まれているかで、実際の時給が変わります「管理薬剤師になった場合、時間外手当はどのように支給されますか」
異動の範囲管理者が替わるたびに開設者は変更届が必要で、加算の在籍要件にも関わるため、異動の頻度と範囲は薬局側にとっても重要な条件です「管理薬剤師の異動は、どの範囲で、どのくらいの頻度でありますか」
本部の支援と権限開設者は管理者の権限を明らかにし、意見を尊重して措置の記録を残す義務があります(第9条第2項・第9条の2)。意見書の窓口や、エリアマネージャーなど本部担当者との役割分担を確認します「管理薬剤師が本部に書面で意見を出すときの窓口と、回答までの流れを教えてください」
加算の届出状況地域支援・医薬品供給対応体制加算には管理薬剤師の要件(薬局経験5年以上・週31時間以上・在籍1年以上)があり、かかりつけ薬剤師の施設基準にも「管理薬剤師が継続して3年以上在籍」を選択肢の一つとする要件があります。前任者の退職で要件をどう満たすかは、薬局側の関心事です「現在届け出ている加算と、管理薬剤師の交代でその届出に影響があるかを教えてください」

応募先の薬局の基本情報は、厚生労働省の医療情報ネット(ナビイ)でも確認できます。開局時間や提供しているサービスを見てから面接に臨むと、質問を具体的にできます。

面接で管理経験をどう話すか

職務経歴書での管理業務の書き方は薬剤師の職務経歴書の書き方で、薬機法第8条の枠に沿った記入例とともに整理しています。ここでは、面接で口頭で話すときの型を扱います。

管理経験がある人:「状況→自分の判断→結果」で1件ずつ

面接で「管理薬剤師として何をしてきましたか」と聞かれたとき、業務を並べるだけでは書類の繰り返しになります。1つの出来事について、状況・自分が判断したこと・結果の数字の順で話すと、管理者としての判断力が伝わります。

回答の型(例)

状況:「薬剤師◯名の体制で、◯月から◯名が退職し、◯か月間は欠員のまま運営する必要がありました。」

判断:「処方箋枚数に対して必要な薬剤師数を満たせなくなる時間帯があったため、本部に書面で人員補充と応援要請の意見を出し、並行して一包化の受付時間を調整しました。」

結果:「◯か月後に◯名が配属され、その間の待ち時間は◯分以内に収まりました。」

このとき書面で意見を出したという事実は、法令上の管理者の義務を理解して動いたことの表れになります。数字は記録で確認できる範囲だけを使い、思い出せない数字は「おおよそ」と断るか、話さないほうが安全です。書類に書いた数字と面接で話す数字がずれると、記載全体の信頼性が疑われます。

管理経験がない人:「管理者の義務のどこを経験しているか」で話す

管理薬剤師の求人に未経験で応募する場合、「やる気があります」では判断材料になりません。第8条の義務と施行規則第11条の業務に照らして、すでに担当している部分を挙げます。発注・期限管理、麻薬や向精神薬の帳簿の記帳、新人や実習生の指導、温度記録、ヒヤリ・ハット事例の集計、保健所の立入検査への同席などです。そのうえで「担当していない部分(本部への意見申述、シフト作成など)は、入職後どのように引き継ぎを受けられますか」と逆に質問すると、準備の度合いと入社後の現実的な見通しの両方が伝わります。

管理薬剤師を辞める理由をどう話すか

管理薬剤師からの転職理由は、一人薬剤師で休めない、応援が多い、意見を出しても体制が変わらない、といった体制の問題であることが少なくありません。話すときは感情ではなく事実と、自分が取った手順に置き換えます。

避けたい言い方 伝わる言い方(例)
本部が何もしてくれなかった薬剤師の増員について書面で意見を出しましたが、法人の採用状況から当面の改善は難しいとの回答でした。体制が整った環境で、管理業務と対人業務の両方に時間を使いたいと考えています
休みが全然取れない薬剤師1名の体制で、代替の薬剤師が確保できない日は休めない状況でした。複数の薬剤師で業務を分担できる薬局で、管理の経験を活かしたいと考えています
応援ばかりで自分の店を見られない自店の管理に専念できる体制で、在庫や手順の改善を継続して進めたいと考えています

業態別の志望動機の組み立て方は薬剤師の志望動機・転職理由の書き方にまとめています。

管理薬剤師を辞める・転職するときの手順

1. 退職の申し出:民法と就業規則

期間の定めのない雇用(正社員の多く)では、民法第627条第1項により、労働者はいつでも解約の申入れができ、申入れの日から2週間を経過すると雇用は終了します。有期雇用の場合は、第628条によりやむを得ない事由があるときに直ちに契約を解除できる、という別の規定になります。

多くの会社は就業規則で「退職の1か月前までに申し出る」などの期間を定めています。管理薬剤師の場合、開設者は後任を指定して30日以内に変更届を出す必要があり、引き継ぐ記録も多いため、就業規則の期間に沿って、できれば余裕をもって申し出るほうが現実的です。申し出は口頭だけでなく、日付の残る書面やメールで行っておくと、申入れ日をめぐる行き違いを防げます。

2. 後任の指定と変更届は開設者の仕事

管理者を指定する義務は開設者にあります(第7条第1項・第2項)。「後任が見つかるまで辞められない」という決まりは法律にはありません。管理者が替わったとき、開設者は30日以内に、薬局の所在地の都道府県知事に届け出る必要があります(第10条第1項)。届出の対象は施行規則第16条第1項第4号の「薬局の管理者の氏名、住所又は週当たり勤務時間数」で、様式第六の届書に新しい管理者との雇用契約書の写しなどを添えます(同条第2項・第3項)。所在地が保健所設置市や特別区の場合、提出先はその市長・区長になります。

管理薬剤師の週当たり勤務時間数の変更も届出事項です。転職ではなく「管理薬剤師を降りて同じ薬局で働き続ける」「勤務時間を減らす」場合も、開設者側で届出が必要になります。

3. 向精神薬取扱責任者もあわせて替わる

薬局開設者は、麻薬及び向精神薬取締法第50条の26第1項により、向精神薬小売業者などの免許を受けた者とみなされます。同条第3項は、その場合の薬局の管理者を向精神薬取扱責任者とみなすと定めています。管理者が替われば、向精神薬取扱責任者も替わるということです。なお、責任者の変更届を定めた第50条の20第4項は、このみなし免許の薬局には適用しないと第50条の26第1項で定められています。

麻薬小売業者の免許は、薬局開設の許可を受けている者(開設者)が受けるものです(同法第3条第2項第6号)。管理薬剤師個人の免許ではありませんが、帳簿の記載と保管は現場の管理者が担っていることが多いため、引き継ぎの中心になります。

4. 引き継ぎチェックリスト

法令で記録や保存が定められているものと、実務上引き継いでおきたいものを分けて整理します。

項目 根拠 引き継ぐときに確認すること
薬局の管理に関する帳簿施行規則 第13条試験検査・不良品の処理などの記載が最新か。保管場所(最終記載日から3年間保存)
開設者への意見書の写し施行規則 第11条第2項第2号3年間保存の対象。未回答の意見があれば、その内容と経緯を後任に伝える
麻薬帳簿と在庫麻向法 第34条・第38条譲受・譲渡・廃棄の記載と実在庫の一致。鍵をかけた堅固な設備での保管。帳簿は最終記載日から2年間保存
向精神薬の記録麻向法 第50条の23譲渡・譲受・廃棄の記録(第三種向精神薬などは対象外)。記録の日から2年間保存
事故・廃棄の届出の履歴麻向法 第35条麻薬の事故届、調剤済み麻薬の廃棄届(廃棄後30日以内)の控えと、手続き途中のものの有無
特定生物由来製品の記録施行規則 第11条第1項第4号・第240条取り扱いがある場合、記録の保管場所(使用日から少なくとも20年間保存)
サイバーセキュリティの措置施行規則 第11条第2項第1号レセコン・電子薬歴・電子処方箋関連の管理者アカウント、パスワードの変更手順、保守業者の連絡先
在庫・使用期限実務期限が近い医薬品の一覧、発注先と発注の締め時刻、供給不足品の代替状況
温度管理・設備実務冷所保管品の温度記録、機器の点検日、故障時の連絡先
手順書・行政対応実務調剤・在宅などの手順書の最新版、直近の立入検査での指摘と対応状況、在宅患者や連携先医療機関の連絡先

引き継ぎの内容と日付を一覧にして、後任または開設者側の担当者に確認のサインをもらっておくと、退職後に問い合わせが来たときにも説明しやすくなります。

管理薬剤師の手当を、統計の相場と比べる

管理薬剤師の手当がいくらなら妥当かは、法人や地域によって違い、公的統計に「管理薬剤師だけ」の区分はありません。比べるときは、手当を除いた基本給が自分の経験年数の相場と比べてどうかを先に見て、手当はその上乗せとして判断します。

転職判断の物差し

薬剤師の賃金・労働時間・求人倍率

賃金・労働時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(一般労働者・男女計・企業規模10人以上)、求人倍率と求人票の月給は同省の職業情報提供サイト job tag に掲載のハローワーク求人統計(令和7年度)。年収は「残業代込みの月給×12+年間賞与」の換算値です。

1. 平均の姿(この職種で働く人の真ん中あたり)

項目 薬剤師
年収(換算)567万円
残業代込みの月給39.9万円
残業代を除いた月給37万円
年間賞与88.4万円
平均年齢40.1歳
平均勤続年数8.6年
月の所定内労働時間157時間
月の残業時間10時間
集計対象の労働者数94,850人
有効求人倍率(令和7年度)3.12倍
求人票の月給(ハローワーク平均)36.2万円

求人票の月給は、ハローワーク求人に書かれた賃金(下限と上限の中間値)の平均で、残業代や賞与を含みません。「残業代込みの月給」より低く出るのが普通です。求人倍率は求職者1人あたりの求人数で、1倍を大きく超えるほど「選ぶ側」に立てます(全職業の平均は1.1倍・令和7年度・職業別集計の職業計)。

2. 会社の規模で変わる額(同じ職種でもここが分かれ目)

職種 企業規模 年収(換算) 残業代込みの月給 年間賞与 月の残業 平均勤続
薬剤師 1,000人以上 565万円 39.2万円 94万円 13時間 7.2年
100〜999人 563万円 39.3万円 90.9万円 7時間 11.4年
10〜99人 587万円 44.3万円 55.2万円 6時間 7.7年

3. 年齢別の年収(換算・万円)— 自分の年齢帯の列を見る

職種 20-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-64
薬剤師 408495533598595676643657550

4. 経験年数別の月給(残業代を除く・万円)— 転職直後に提示されやすい帯

職種 0年1〜4年5〜9年10〜14年15年以上
薬剤師 33.633.435.337.241.8

「経験年数」はその職種での通算年数で、会社を変えてもリセットされません。「0年」はその職種に就いたばかりの人の額です。

産業全体の働き方の目安: 医療,福祉で働く一般労働者は月に19.2日出勤し、総労働時間153.6時間のうち残業は6.7時間(全産業は19.2日・160.5時間のうち残業13.2時間)。厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」(事業所規模5人以上)。

この数字の読み方

  • 統計の「残業代を除いた月給」(所定内給与額)は、きまって支給する給与から時間外・深夜・休日・宿日直・交替の5種類の手当だけを差し引いた額です。管理薬剤師手当のように支給条件があらかじめ決まっている手当は、この額に含まれています。統計の数字は管理薬剤師とそれ以外の薬剤師を合わせた平均です。
  • 求人票の手当額は、基本給と分けて書いてもらい、表4の自分の経験年数の列と基本給を比べます。表4では10〜14年から15年以上にかけての伸びが、5〜9年から10〜14年にかけての伸びより大きく出ています。
  • 表2の10〜99人の企業は月給が高く賞与が低い構造です。中小の薬局で管理薬剤師になる場合は、手当が月給側で払われるのか、賞与の算定にどう反映されるのかで、年収の比べ方が変わります。

出典・取得日

取得日 2026年10月18日。統計の職業区分は記事の職種と完全には一致しません。各社の求人票の数字を読むための物差しとして使ってください。

応募前・退職前のチェックリスト

管理薬剤師の求人に応募する前

  • 応募先が薬局・店舗販売業・卸・製造業のどの許可にもとづく管理者かを確認した
  • 1日の処方箋枚数と、時間帯ごとの薬剤師の人数を確認した
  • 自分が休む日の代替の薬剤師が決まっているかを確認した
  • 他店舗への応援や兼務が前提になっていないかを確認した
  • 管理薬剤師手当が基本給と別か、賞与の算定基礎に含まれるか、残業代の扱いを確認した
  • 異動の範囲と頻度、本部への意見書の窓口を確認した

管理薬剤師を辞める前

  • 就業規則の退職申し出期間を確認し、日付の残る形で申し出た
  • 後任の指定と変更届(30日以内)は開設者が行うことを、上長と共有した
  • 麻薬帳簿と在庫の一致、向精神薬の記録、薬局の管理に関する帳簿を確認した
  • 開設者に出した意見書の写しと、その後の経緯を後任に伝えた
  • システムの管理者アカウントや保守業者の連絡先を引き継いだ
  • 引き継ぎ内容の一覧に、受け取った人の確認をもらった
あなたに合う転職エージェントを見つけませんか? 無料診断で最適なエージェントを3分で見つける →

よくある質問

管理薬剤師になるのに必要な経験年数は法律で決まっていますか?

薬機法第7条第3項は、薬局の管理者は管理者としての義務と業務を遂行するために「必要な能力及び経験を有する者」でなければならないと定めていますが、条文に年数は書かれていません。目安としては、厚生労働省の「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」が、原則として薬局での実務経験が少なくとも5年あり、薬剤師認定制度認証機構などが認証した制度で認定された薬剤師であることが重要だとしています。

管理薬剤師は他の店舗へ応援(ヘルプ)に行けますか?

原則として行けません。薬機法第7条第4項は、薬局の管理者がその薬局以外の場所で業として薬局の管理その他薬事に関する実務に従事することを禁じています。例外はその薬局の所在地の都道府県知事の許可を受けた場合だけです。2026年7月30日には、管理者が他の場所で実務に従事していた違反事案が複数見つかったとして、厚生労働省が改めて周知を求める通知を出しています。

後任の管理薬剤師が決まらないと退職できませんか?

管理者を指定するのは薬局開設者の義務です(薬機法第7条第1項・第2項)。期間の定めのない雇用であれば、民法第627条第1項により、解約の申入れから2週間で雇用は終了します。ただし、後任の指定と変更届、帳簿や麻薬・向精神薬の記録の引き継ぎには時間がかかるため、就業規則の申し出期間に沿って早めに伝えるほうが、自分にとっても揉めにくい進め方です。

管理薬剤師が替わったら、どんな届出が必要ですか?

薬局開設者が、薬局の管理者を変更してから30日以内に、薬局の所在地の都道府県知事に届け出ます(薬機法第10条第1項)。届出事項は施行規則第16条第1項第4号に「薬局の管理者の氏名、住所又は週当たり勤務時間数」と定められており、新しい管理者との雇用契約書の写しなどを添付します。届け出るのは開設者で、辞める管理薬剤師本人ではありません。

求人の管理薬剤師手当は、年収の比較でどう扱えばいいですか?

基本給と分けて書いてもらい、残業代の扱いとあわせて確認してください。手当が基本給に組み込まれている場合や、管理職扱いとして労働時間の規定を適用しない扱いになっている場合は、額面が同じでも中身が違います。なお、賃金構造基本統計調査の「残業代を除いた月給」(所定内給与額)は、時間外・深夜・休日・宿日直・交替の手当だけを除いた額なので、あらかじめ支給条件が決まっている管理薬剤師手当のような手当は含まれています。

薬剤師の転職をもっと詳しく

参考:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」第7条〜第10条・第17条・第28条・第35条/同 施行規則 第11条・第13条・第15条の11の2・第16条・第140条・第154条/同「薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令」第1条/同「麻薬及び向精神薬取締法」第3条・第33条〜第35条・第38条・第50条の23・第50条の26/同「民法」第627条・第628条/厚生労働省「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」(令和3年6月25日 薬生発0625第13号)/厚生労働省通知「薬局における適正な業務の確保等について」(令和8年7月30日、日本薬剤師会の周知文書に収載)/愛媛県 審査基準「薬局管理者の兼業の許可」/厚生労働省保険局医療課「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」

シェア: LINE B!

条件が複数あるなら、診断で絞り込む

年代・職種・働き方の希望をまとめて答えると、あなたに合う相談先を3分で絞り込めます。この記事の内容は引き継がれます。

無料で診断する

第一関門突破!編集部

日本の転職市場・採用動向を踏まえ、書類選考突破のノウハウを発信

本記事は、採用担当者へのヒアリングと実際の書類選考データをもとに、実践的な観点で執筆しています。 編集方針を見る →