職種別ガイド

看護師の転職ガイド

看護師の転職で先に知っておきたいのは、同じ職場で働く人たちが実際に何に困り、何を理由に辞めているかです。 このコーナーでは、看護師本人が回答した調査(日本看護協会の会員調査・日本医労連の労働実態調査)と病院側が回答した調査の実数を土台に、辞める理由の棚卸しから面接の逆質問までを順番に整理しました。個人の体験談ではなく、公表された調査と公開事例だけを使っています。

全9本。

  1. STEP 1

    辞める理由を実数で棚卸しする

  2. STEP 2

    夜勤・残業・待機の実態を知る

  3. STEP 3

    求人票を全国平均と並べて見極める

  4. STEP 4

    応募書類を仕上げる

  5. STEP 5

    面接で確かめる

状況別: 新卒1〜3年目で辞めたい / 派遣・単発で働きたい

実態データ早見表

看護師本人の回答(日本看護協会の会員調査・日本医労連の労働実態調査)と、病院の看護部長の回答(病院看護実態調査)から、転職の判断に直接関わる数値を抜き出しました。本人調査と病院調査で数字が違う項目は、その差自体が「求人票と実態のずれ」の目安になります。各行の詳しい母数と読み方はリンク先の記事にあります。

項目 実数 補足 出典
正規雇用看護職員の離職率 11.0% 新卒採用者 8.4%、既卒採用者 16.1%。99床以下の病院は 13.1%、500床以上は 10.0% 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(3,502病院)
「仕事を辞めたい」と思いながら働いている 79.2% 「いつも思う」24.0%+「ときどき思う」55.2%。理由の1位は「人手不足で仕事がきつい」58.1% 日本医労連ほか「2022年 看護職員の労働実態調査」(本人 35,933人)
看護職として働き続けたい 62.9% 2021年の 67.6%から低下。20〜29歳は 53.7%、病院勤務者で低い 日本看護協会「2025年 看護職員実態調査」(本人 4,430人)
2交代(夜勤1回16時間以上)を採用している病院 78.3% 二交代の最も長い夜勤は平均 16.2時間。拘束13時間以内をルールにしている病院は 17.2% 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」
夜勤中の休憩(2交代) 規程 120〜150分 → 実際 90〜120分 どちらも最多の回答帯。3交代は規程 60〜90分、実際は 60分未満が 62.6% 日本看護協会「2025年 看護職員実態調査」
二交代の夜勤手当(1回) 平均 11,470円 中央値 11,200円。三交代は準夜 4,300円・深夜 5,211円。2010年とほぼ同額 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」
賃金が払われない時間外労働がある 約7割 「なし」は 31.6%。不払いになっている業務は記録 57.9%、患者対応 42.3%、情報収集 41.9% 日本医労連ほか「2022年 看護職員の労働実態調査」
この1年に暴力・暴言・ハラスメントを受けた 49.3% 相手は患者・利用者 69.3%、上司(看護職)43.0%、医師 31.7% 日本看護協会「2025年 看護職員実態調査」
年間休日・有給取得率・超過勤務 117.7日・69.6%・月4.8時間 いずれも病院回答の平均。超過勤務は本人調査では「月5時間以上」が 64.1% 日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」/日本医労連ほか 2022年調査

数値はいずれも 2026年10月時点で各団体が公表している最新の報告書から。日本看護協会の2調査は 2026年3月31日公表(2025年10〜11月調査)、日本医労連・全大教・自治労連の調査は 2023年5月発表(2022年9月実績)。

STEP 2

夜勤・残業・待機の実態を知る

2交代16時間の夜勤を採用する病院は8割近く、夜勤中の休憩は規程より実際のほうが短い。約7割に不払いの時間外があり、その大半は記録です。働き方の「ふつう」を数字で押さえると、求人票の表記が読めるようになります。

STEP 4

応募書類を仕上げる

職務経歴書は施設・配属・体制の前提情報から。志望動機は転職理由を「不満」から「次で担いたい看護」に置き換え、転職先の法律上の類型に接続します。夜勤やオンコールの可否は志望動機に混ぜず、条件として数字で書きます。

状況別の記事

新卒1〜3年目で辞めたい

新卒1〜3年目の看護師が辞めたいとき|1年目離職率8.4%の中身、管理者が見ている退職理由、辞め方と次の選び方

新卒看護師の1年目離職率は8.4%(日本看護協会 2025年病院看護実態調査、新卒37,386人中3,144人)。99床以下13.8%と500床以上7.6%の差、養成所別・設置主体別の数字、看護管理者が挙げる退職理由(精神的疾患54.6%・適性への不安46.6%)と当事者調査(人手不足で仕事がきつい、20〜24歳63.7%)のずれ、上司からのパワハラ20〜24歳78.7%、辞める前に確認する異動制度・奨学金の返還条件・申し出から2週間で成立する退職の手続き、看護を続けるか看護以外に行くかの判断材料、第二新卒としての書類の書き方までまとめました。

派遣・単発で働きたい

看護師の派遣・単発バイトはどこで働けるか|派遣が禁止される場所の線引きと例外、応募書類の書き方

看護師の派遣は、病院・診療所・助産所・老健・介護医療院・利用者の自宅で行う業務が原則禁止で、特養・有料老人ホーム・デイサービス・訪問入浴・保育所・企業・イベント救護は禁止の対象外です。この線引きと例外(紹介予定派遣・産休育休代替・へき地)を整理し、単発バイトが「派遣」と「紹介」のどちらで出るかの理由、期間制限と待遇の決まり方、派遣で応募するときの職務経歴書と勤務条件の書き方をまとめました。

公的統計で見る看護師の年収・月給・求人倍率

求人票の金額が高いか低いかは、相場と並べないと判断できません。国の統計(賃金構造基本統計調査・職業情報提供サイト job tag・一般職業紹介状況)の看護師・准看護師の値をまとめました。病院看護実態調査の月額(新卒 税込 285,078〜292,527円、勤続10年 340,278円)は夜勤手当込み・時間外手当抜きの定義なので、年収ベースのこの表と直接は比べないでください。

転職判断の物差し

看護師・准看護師の賃金・労働時間・求人倍率

賃金・労働時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(一般労働者・男女計・企業規模10人以上)、求人倍率と求人票の月給は同省の職業情報提供サイト job tag に掲載のハローワーク求人統計(令和7年度)。年収は「残業代込みの月給×12+年間賞与」の換算値です。

1. 平均の姿(この職種で働く人の真ん中あたり)

項目 看護師准看護師
年収(換算)525万円428万円
残業代込みの月給36.6万円30.3万円
残業代を除いた月給33.3万円27.9万円
年間賞与85.6万円63.7万円
平均年齢42.1歳51.8歳
平均勤続年数9.8年13.6年
月の所定内労働時間156時間159時間
月の残業時間6時間4時間
集計対象の労働者数903,060人122,920人
有効求人倍率(令和7年度)2.38倍—
求人票の月給(ハローワーク平均)26.6万円—

求人票の月給は、ハローワーク求人に書かれた賃金(下限と上限の中間値)の平均で、残業代や賞与を含みません。「残業代込みの月給」より低く出るのが普通です。求人倍率は求職者1人あたりの求人数で、1倍を大きく超えるほど「選ぶ側」に立てます(全職業の平均は1.1倍・令和7年度・職業別集計の職業計)。

2. 会社の規模で変わる額(同じ職種でもここが分かれ目)

職種 企業規模 年収(換算) 残業代込みの月給 年間賞与 月の残業 平均勤続
看護師 1,000人以上 570万円 38.7万円 105.7万円 9時間 9.8年
100〜999人 506万円 35.8万円 77万円 4時間 10.3年
10〜99人 470万円 34万円 62.4万円 5時間 8.1年
准看護師 1,000人以上 457万円 33.4万円 56.3万円 3時間 17.6年
100〜999人 431万円 30.5万円 65.3万円 3時間 14年
10〜99人 414万円 29.2万円 62.9万円 6時間 12.1年

3. 年齢別の年収(換算・万円)— 自分の年齢帯の列を見る

職種 20-2425-2930-3435-3940-4445-4950-5455-5960-64
看護師 440501491519548561578574503
准看護師 345380390395425447431474437

4. 経験年数別の月給(残業代を除く・万円)— 転職直後に提示されやすい帯

職種 0年1〜4年5〜9年10〜14年15年以上
看護師 27.830.531.532.735.9
准看護師 24.925.425.527.128.9

「経験年数」はその職種での通算年数で、会社を変えてもリセットされません。「0年」はその職種に就いたばかりの人の額です。

産業全体の働き方の目安: 医療,福祉で働く一般労働者は月に19.2日出勤し、総労働時間153.6時間のうち残業は6.7時間(全産業は19.2日・160.5時間のうち残業13.2時間)。厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」(事業所規模5人以上)。

この数字の読み方

  • 病棟から訪問看護やクリニックへ移る場合、年収の差は主に夜勤手当と年間賞与の分です。規模別の小さい事業所の列が訪問看護・クリニックに近い姿です。
  • 求人倍率が1倍を大きく超える状態なので、日勤のみ・時短などの条件を伝えて不利になる心配は小さいと言えます。条件は志望動機ではなく条件欄で明示します。

出典・取得日

取得日 2026年10月18日。統計の職業区分は記事の職種と完全には一致しません。各社の求人票の数字を読むための物差しとして使ってください。

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