30秒でわかる結論
最初に施設情報を書く。施設形態・定員・要介護度・夜勤体制。これがないと「介護職員」としか読めません。
資格は正式名称と取得年月で。実務経験年数は在籍期間から逆算せず、証明できる形で書きます。
夜勤の回数と体制は必ず記載。採用側が最も知りたい条件のひとつです。
まず施設情報を書く
介護の職務経歴書で最も多い失敗は、「介護業務全般を担当」で終わってしまうことです。介護は施設形態によって業務内容も、利用者の状態も、必要な判断も大きく異なります。前提情報がなければ、採用側は経験を評価できません。
各職歴の冒頭に、次のブロックを置いてください。
社会福祉法人◯◯会 特別養護老人ホーム△△ 2019年4月〜2024年3月
【施設形態】特別養護老人ホーム(従来型・定員80名)
【利用者】平均要介護度3.8。認知症対応が必要な方が約6割
【体制】介護職員◯名(日勤◯名・夜勤2名体制)/看護職員の日中常駐あり
【勤務】3交替。夜勤は月4回程度(16時間夜勤)
【役割】介護職員(2019年4月〜2022年3月)→ ユニットリーダー(2022年4月〜2024年3月)
このブロックがあるだけで、身体介護の比重、認知症ケアの経験量、夜勤の負荷、チーム内での立ち位置がおおむね伝わります。
施設形態による経験の違い
| 施設形態 | 書類で伝わる経験 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 要介護度が高い方の身体介護、看取りへの関わり、夜勤 |
| 介護老人保健施設 | 在宅復帰に向けた支援、リハビリ職との連携、入退所の入れ替わり |
| 有料老人ホーム | 自立度の幅が広い対応、接遇、ご家族対応 |
| グループホーム | 認知症ケア、少人数での生活支援、家事支援 |
| デイサービス | 送迎、レクリエーション運営、多人数の同時対応、日勤中心 |
| 訪問介護 | 単独での判断、生活援助、時間管理、記録の正確さ |
応募先と異なる形態からの転職でも不利にはなりません。ただし、応募先で必要になる経験(例:訪問からグループホームなら夜勤とチーム勤務)について、対応できる根拠を書いておくと選考が進みやすくなります。
担当業務は範囲がわかる形で
「食事介助・入浴介助・排泄介助」と並べるだけでは、どの施設でも同じ記述になります。件数や体制まで含めて書きます。
| 伝わりにくい | 伝わる |
|---|---|
| 入浴介助 | 個浴・機械浴の介助(1日あたり約12名)。全介助の方を含む |
| 記録業務 | 介護記録の入力(介護記録ソフト使用)。申し送り事項の整理と朝礼での共有 |
| 夜勤 | 月4回の夜勤(16時間・2人体制・利用者40名を担当)。急変時の一次対応と看護師への連絡 |
| レク担当 | 月次レクリエーションの企画・運営(参加者約30名)。季節行事の準備を担当 |
| 新人指導 | 新入職員3名のOJT担当。手順書を整備し、独り立ちまでの期間を短縮 |
ケアプランへの関与、サービス担当者会議への出席、ご家族対応、実習生の受け入れなど、直接介護以外の業務も書いてください。役割の広さが伝わります。
資格と実務経験年数の書き方
資格は正式名称と取得年月で記載します。介護分野は名称変更があったため、旧称のまま書かれていることが少なくありません。
| よくある書き方 | 現在の名称 |
|---|---|
| ヘルパー2級 | 介護職員初任者研修 修了(旧・訪問介護員養成研修2級課程) |
| ヘルパー1級/基礎研修 | 介護福祉士実務者研修 修了(該当する場合は旧称を併記) |
| 介護福祉士 | 介護福祉士(登録番号を書く必要はありません) |
| ケアマネ | 介護支援専門員 |
介護福祉士を目指している場合
実務経験ルートで介護福祉士国家試験を受験する場合、従業期間3年(1,095日)以上かつ従事日数540日以上に加えて、実務者研修の修了が必要です(介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(3号研修を除く)を修了している場合も受験資格となります)。
転職を挟む場合、実務経験は複数の事業所を通算できます。ただし証明書は事業所ごとに取得する必要があるため、在籍期間を正確に記録しておくことが実務上重要です。職務経歴書の在籍期間を曖昧に書いていると、後で証明書と突き合わせたときに齟齬が生じます。
受験予定であれば、資格欄に「介護福祉士国家試験 2027年1月受験予定(実務者研修修了済み)」のように書いておくと、長期的に働く意思が伝わります。
夜勤・勤務条件は正直に書く
介護の採用では、シフトが組めるかどうかが実務上の最重要事項です。ここを曖昧にしたまま入職すると、双方にとって不幸な結果になります。
- 夜勤経験:回数・時間帯(16時間夜勤か2交替か)・人員体制
- 早番・遅番:対応可能な時間帯
- 希望:夜勤なし希望、土日休み希望などがあれば、書類ではなく面接や条件確認の場で伝える
- 運転:送迎業務がある事業所では普通自動車第一種運転免許の有無が要件になります。AT限定かどうかも記載します
条件面の希望は、志望動機に混ぜず切り分けて伝えるのが実務的です。書類上は経験と意欲を書き、条件はすり合わせの場で確認します。
施設形態を選ぶ前に見る相場:年収・残業・求人倍率
職務経歴書に相場は書きませんが、希望年収欄と条件面談で自分の位置を言えるかどうかで提示は変わります。厚生労働省の公的統計から、施設の介護職員と訪問介護の年収・月給・賞与・労働時間と、ハローワーク求人の倍率・月給をまとめました。
転職判断の物差し
介護職員(施設)・訪問介護の賃金・労働時間・求人倍率
賃金・労働時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(一般労働者・男女計・企業規模10人以上)、求人倍率と求人票の月給は同省の職業情報提供サイト job tag に掲載のハローワーク求人統計(令和7年度)。年収は「残業代込みの月給×12+年間賞与」の換算値です。
1. 平均の姿(この職種で働く人の真ん中あたり)
| 項目 | 介護職員(施設) | 訪問介護 |
|---|---|---|
| 年収(換算) | 388万円 | 382万円 |
| 残業代込みの月給 | 27.8万円 | 28.2万円 |
| 残業代を除いた月給 | 26.3万円 | 26.7万円 |
| 年間賞与 | 54.8万円 | 44万円 |
| 平均年齢 | 45.3歳 | 51.2歳 |
| 平均勤続年数 | 9年 | 8.8年 |
| 月の所定内労働時間 | 162時間 | 163時間 |
| 月の残業時間 | 4時間 | 6時間 |
| 集計対象の労働者数 | 1,165,930人 | 83,920人 |
| 有効求人倍率(令和7年度) | 2.96倍 | 28.37倍 |
| 求人票の月給(ハローワーク平均) | 22.5万円 | 24.5万円 |
求人票の月給は、ハローワーク求人に書かれた賃金(下限と上限の中間値)の平均で、残業代や賞与を含みません。「残業代込みの月給」より低く出るのが普通です。求人倍率は求職者1人あたりの求人数で、1倍を大きく超えるほど「選ぶ側」に立てます(全職業の平均は1.1倍・令和7年度・職業別集計の職業計)。 求人統計の職業区分は「施設介護員」・「訪問介護員/ホームヘルパー」です。
2. 会社の規模で変わる額(同じ職種でもここが分かれ目)
| 職種 | 企業規模 | 年収(換算) | 残業代込みの月給 | 年間賞与 | 月の残業 | 平均勤続 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 介護職員(施設) | 1,000人以上 | 400万円 | 29.2万円 | 49.9万円 | 6時間 | 8.6年 |
| 100〜999人 | 397万円 | 28.1万円 | 60万円 | 4時間 | 9.7年 | |
| 10〜99人 | 368万円 | 26.6万円 | 48.4万円 | 4時間 | 8.2年 | |
| 訪問介護 | 1,000人以上 | 404万円 | 30.6万円 | 36.9万円 | 9時間 | 9.1年 |
| 100〜999人 | 367万円 | 26.5万円 | 49.3万円 | 5時間 | 9.7年 | |
| 10〜99人 | 381万円 | 28万円 | 44.2万円 | 5時間 | 8.3年 |
3. 年齢別の年収(換算・万円)— 自分の年齢帯の列を見る
| 職種 | 20-24 | 25-29 | 30-34 | 35-39 | 40-44 | 45-49 | 50-54 | 55-59 | 60-64 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 介護職員(施設) | 316 | 358 | 384 | 414 | 414 | 414 | 416 | 394 | 366 |
| 訪問介護 | 287 | 353 | 370 | 373 | 407 | 381 | 396 | 399 | 372 |
4. 経験年数別の月給(残業代を除く・万円)— 転職直後に提示されやすい帯
| 職種 | 0年 | 1〜4年 | 5〜9年 | 10〜14年 | 15年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護職員(施設) | 21.9 | 24 | 25.5 | 26.8 | 28.7 |
| 訪問介護 | 23.6 | 25.8 | 26.6 | 26.5 | 27.9 |
「経験年数」はその職種での通算年数で、会社を変えてもリセットされません。「0年」はその職種に就いたばかりの人の額です。
この数字の読み方
- 処遇改善の加算分は、統計の月給・賞与の中に入っています。求人票では加算が月給に含まれるのか、手当や一時金なのかを確認します。
- 夜勤手当は「残業代込みの月給」に含まれています。夜勤のない事業所と比べるときは「残業代を除いた月給」の列で比べ、夜勤1回あたりの手当額を別に聞きます。
- 訪問介護は求人倍率がきわめて高く、求職者1人に多数の求人がある状態です。移動時間の扱い・1件あたりの単価・直行直帰の可否を条件として聞いても不利にはなりません。
- 表4の経験年数は介護職としての通算年数で、施設を変えてもリセットされません。実務経験年数は介護福祉士の受験資格だけでなく、提示額の根拠にもなります。
出典・取得日
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 職種 第1表・第5表・第14表(e-Stat) (2026年3月24日公表)
- 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag(ハローワーク求人統計データ 令和7年度) (職業ごとの求人賃金・有効求人倍率)
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表 (職業別の有効求人倍率)
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和7年分結果確報」 (産業別の労働時間・出勤日数)
取得日 2026年10月18日。統計の職業区分は記事の職種と完全には一致しません。各社の求人票の数字を読むための物差しとして使ってください。
転職理由の書き方
介護は離職理由が職場環境や人間関係にあることも多い分野です。ただし、書類にそれを書くと後ろ向きな印象だけが残ります。
書類では志望動機として、次のような形に組み替えます。
- 特養での身体介護の経験を活かし、認知症ケアにより深く関わりたい(グループホームへ)
- 大規模施設で培った動きを、一人ひとりに時間をかけられる環境で活かしたい(小規模多機能へ)
- 在宅復帰支援に携わりたい(老健へ)
事実と違うことを書く必要はありません。前の職場の問題点を並べる代わりに、次の職場でやりたいことを書く、という置き換えです。転職理由の整理は退職理由の書き方を参考にしてください。
未経験から介護職を目指す場合
介護は無資格・未経験を対象とした求人がある分野です。この場合、職務経歴書に書くのは介護の経験ではなく、介護の現場で使える要素です。
- 接客・サービス業での対人経験(相手の状態に合わせた対応)
- シフト勤務・早番遅番への対応経験
- チームで動いた経験、報告・連絡の習慣
- 体力面(立ち仕事の継続経験など)
- 家族の介護経験(あれば事実として簡潔に)
資格は入職後に取る前提で問題ありません。事業者によっては、働きながら介護職員初任者研修や実務者研修を取得できる支援制度を設けています。求人を比較する際は、給与や勤務地だけでなく資格取得支援の有無を条件に入れると、3年後の選択肢が変わります。
記入例:特養からグループホームへ
■ 職務要約
特別養護老人ホームにて5年間、介護職員として従事。うち直近2年はユニットリーダーとして職員6名のシフト調整と新人指導を担当しました。要介護度の高い利用者様への身体介護と、認知症の方への対応を中心に経験を積んでいます。
■ 保有資格
2019年3月 介護職員初任者研修 修了
2022年10月 介護福祉士実務者研修 修了
2024年3月 介護福祉士
2018年6月 普通自動車第一種運転免許(AT限定)
■ 職務経歴
(前掲の施設情報ブロック)
・食事、入浴(個浴・機械浴)、排泄の介助。全介助の方を含む
・夜勤 月4回(16時間・2人体制・40名を担当)。急変時の一次対応と看護師への連絡
・介護記録の入力、申し送り事項の整理
・ユニットリーダーとして職員6名のシフト作成、新人3名のOJT担当
・サービス担当者会議に出席し、ケアプランへの意見提出
資格の書き方の詳細は履歴書の資格欄の書き方、施設選びの視点は介護の転職で見るべき施設の違いにまとめています。
まとめ
- 施設形態・定員・要介護度・体制を各職歴の冒頭に書く
- 業務は件数や体制まで含めて、範囲が分かる形にする
- 資格は現在の正式名称で。実務経験年数は証明できる形で正確に
- 夜勤の回数と体制は必ず書く
- 未経験なら、対人経験・シフト対応・体力を書き、資格取得支援のある事業者を選ぶ
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よくある質問
介護の職務経歴書には何を書けばいいですか?
施設形態(特養・老健・有料老人ホーム・グループホーム・デイサービス・訪問介護など)、定員、利用者の要介護度の傾向、夜勤の有無と回数、配置人数、自分が担当していた業務範囲です。同じ「介護職員」でも施設によって業務がまったく違うため、この前提情報がないと経験を評価できません。
介護福祉士の受験資格である実務経験はどう数えますか?
実務経験ルートの場合、従業期間3年(1,095日)以上かつ従事日数540日以上に加えて、実務者研修の修了が必要です。介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(3号研修を除く)を修了している場合も受験資格となります。職務経歴書では在籍期間を正確に書き、証明書は勤務先から取得します。
夜勤の経験は職務経歴書に書いたほうがいいですか?
書いてください。夜勤の可否は採用側が最も知りたい条件のひとつです。「月4回程度の夜勤(16時間・2人体制)」のように回数と体制まで書くと、応募先の勤務形態と合うかが判断されやすくなります。夜勤なしを希望する場合も、これまでの経験として事実は記載しておきます。
人間関係が理由の転職は、どう書けばいいですか?
書類には理由を詳しく書かず、志望動機として前向きな内容を書きます。面接で問われた場合も、職場批判ではなく「どのようなケアをしたいか」という方向で答えるほうが伝わります。ただし、事実と異なる説明をする必要はありません。
無資格・未経験でも介護職に応募できますか?
無資格・未経験を対象とした求人があります。その場合の職務経歴書では、前職での接客経験、体力面、シフト勤務への対応可否、家族の介護経験などを記載します。働きながら介護職員初任者研修や実務者研修の取得を支援する制度を持つ事業者もあるため、応募時に支援制度の有無を確認しておくと選びやすくなります。