30秒でわかる結論
本人希望記入欄は自己PRの欄ではなく、勤務条件を伝える欄です。
- 特に条件がなければ「貴社規定に従います。」と一行書く(空欄・「特になし」はNG)
- 書くのは譲れない条件だけ:応募職種の指定・勤務地の制約・連絡可能時間帯・入社可能日など
- 年収の希望・待遇の要望・自己PRは書かない。年収は条件面談かエージェント経由で
本人希望記入欄は「何を書く欄」なのか
市販の履歴書や公的な様式例にある本人希望記入欄には、「特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望などがあれば記入」といった説明が添えられています。つまりこの欄の役割は、働くうえでの条件を事務的に伝えることです。志望動機や自己PRを書く場所ではありません。
よくある失敗が、この欄を「最後のアピールスペース」と誤解して、キャリア目標や意気込みを書き込んでしまうことです。採用担当者はこの欄を「配属・連絡・入社時期の調整に必要な情報があるか」という目で読むため、そこに自己PRがあると書類の読み方を分かっていない印象を与えます。アピールは自己PR欄や職務経歴書で行い、この欄は事務連絡に徹するのが正解です。
なお、履歴書の様式自体について補足すると、長く基準とされてきたJIS規格の様式例は2020年(令和2年)7月に削除されており、現在の公的な参考様式は厚生労働省が公正な採用選考の観点から作成した履歴書様式例です。厚労省様式例では性別欄が任意記載となり、通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の各欄が削除されましたが、本人希望記入欄は残っています。それだけ実務上必要とされている欄だということです。
基本は「貴社規定に従います。」の一行
給料・職種・勤務地などに特段の条件がない場合は、次の一行だけで完結させます。
貴社規定に従います。
これが定型である理由は2つあります。第一に、選考の入口で条件を並べると「調整が必要な応募者」として読まれ、同程度の評価の応募者と並んだときに不利に働き得るからです。第二に、空欄にすると記入漏れなのか希望がないのか判別できず、書類の完成度そのものを疑われるからです。「特になし」も、ぶっきらぼうで投げやりな印象を与えるため避けてください。
応募先が官公庁や医療法人など「貴社」がなじまない組織の場合は、「貴庁」「貴院」「貴法人」「貴園」など相手に合わせて言い換えます。
書くべきケースと例文:譲れない条件がある場合
一方で、働くうえで外せない条件があるのに「貴社規定に従います」と書いてしまうと、面接や内定後に条件のすれ違いが表面化し、双方の時間を無駄にします。譲れない条件だけを、理由を一言添えて簡潔に書くのがこの欄の正しい使い方です。ケース別の例文を挙げます。
例文1:複数職種の募集で応募職種を指定する
営業職を希望いたします。
複数職種を同時募集している企業では、この欄で応募職種を明示するのがほぼ必須です。第二希望まで許容できるなら「第一希望:営業職、第二希望:カスタマーサクセス職」のように優先順位をつけて書きます。
例文2:勤務地に制約がある
家族の介護のため、○○県内での勤務を希望いたします。
転勤の可否は配属計画に直結するため、制約があるなら書類段階で伝えるべき筆頭項目です。「介護」「育児」「配偶者の勤務」など理由を一言添えると、わがままな希望ではなく事情として受け取られます。
例文3:在職中で連絡可能な時間帯が限られる
在職中のため、お電話は平日18時以降にいただけますと幸いです。メールは終日確認可能です。
採用担当者にとっても「電話がつながらない」は選考を止める要因なので、この記載はむしろ歓迎されます。メール等の代替手段を添えるのがポイントです。
例文4:入社可能日が決まっている
現職の業務引き継ぎのため、○月○日以降の入社を希望いたします。
在職中の応募では、内定から入社までの目安を先に伝えておくと選考スケジュールを組んでもらいやすくなります。退職交渉がこれからの場合は「内定後、1〜2ヶ月程度で入社可能です」のように幅を持たせて書きます。
例文5:勤務時間に制約がある
育児のため、当面は時短勤務制度の利用を希望いたします(保育園送迎のため9:30〜17:30の勤務を想定しております)。
夜勤不可・時短希望など勤務時間の制約は、入社後に発覚すると最もこじれやすい条件です。制度利用の希望があるなら書類で伝えたうえで、詳細は面接ですり合わせる流れにします。
例文6:現在の姓と異なる姓で職歴がある場合など、その他の連絡事項
職務経歴書は旧姓(○○)で取得した資格を含めて記載しております。
改姓・通称使用など、書類を読むうえで採用担当者が混乱しそうな点の補足にもこの欄が使えます。
書いてはいけないこと
- 希望年収:求人側から記載指定がある場合を除き書きません。入口で金額を出すと条件だけで足切りされる材料になります。伝え方は後述
- 待遇・福利厚生の要望の羅列:「残業は月10時間まで」「リモートワーク週3日以上」など希望を並べると、条件交渉が目的の応募に見えます。優先度の高い1〜2点に絞る
- 自己PR・志望動機・意気込み:欄の目的が違います。長所・短所や自己PRはそれぞれの欄で
- 謙遜・へりくだりすぎる文言:「未熟者ですが」等はこの欄には不要です
年収・待遇の希望はどこで伝えるか
年収や待遇の希望を伝える正しいタイミングは、書類ではなく面接後半〜内定前後の条件面談です。企業側から希望を聞かれたときに、現年収と希望額を根拠(現職の給与水準・担う業務範囲)とともに答えられるよう準備しておきます。
自分から切り出しにくい条件交渉は、転職エージェント経由の応募なら担当者が代行してくれます。年収・入社日・勤務条件の調整はエージェントの標準業務なので、条件面で譲れない点が多い人ほど、直接応募よりエージェント経由が向いています。内定後の条件交渉の進め方も参考にしてください。
本人希望記入欄のチェックリスト
- 空欄・「特になし」になっていないか(条件がなければ「貴社規定に従います。」)
- 書いた条件は「譲れないもの」だけに絞れているか(希望の羅列になっていないか)
- 制約には理由を一言添えているか(介護・育児・在職中など)
- 年収・待遇の希望を書いていないか
- 自己PR・志望動機が紛れ込んでいないか
- 「貴社」の言い換え(貴院・貴法人等)は応募先に合っているか
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よくある質問
本人希望記入欄は空欄のままでもいいですか?
空欄は避けてください。記入漏れなのか希望がないのか採用担当者に区別がつかず、書類の完成度を疑われる原因になります。特に伝えるべき条件がなければ「貴社規定に従います。」と一行書くのが定型です。「特になし」という書き方も、投げやりな印象を与えるため勧められません。
本人希望記入欄に希望年収を書いてもいいですか?
求人票や応募要項で「希望年収を記載してください」と指定されている場合を除き、書かないのが無難です。選考の入口で金額を提示すると、条件面だけで判断される材料になりかねません。年収の希望は内定前後の条件面談か、転職エージェント経由で伝えるのが一般的です。
「貴社規定に従います」はどんな場合でも使えますか?
譲れない条件が本当にない場合に使う定型文です。実際には転勤できない、夜勤ができないなどの制約があるのに「貴社規定に従います」と書くと、入社後のミスマッチや内定辞退の原因になります。働くうえで外せない条件は、この欄で簡潔に伝えておくほうが双方のためになります。
在職中で電話に出られないことは書いてもいいですか?
書いて問題ありません。連絡可能な時間帯の記載は、採用担当者にとっても連絡がつかない無駄を減らせるため歓迎されます。「在職中のため、お電話は平日18時以降にいただけますと幸いです。メールは終日確認可能です」のように、代替手段まで添えると丁寧です。
厚生労働省の履歴書様式例とJIS規格の履歴書は何が違いますか?
長く基準とされてきたJIS規格の様式例は2020年7月に削除され、現在は厚生労働省が公正な採用選考の観点から作成した履歴書様式例が公的な参考様式です。厚労省様式例では性別欄が任意記載になり、通勤時間・扶養家族数・配偶者・配偶者の扶養義務の各欄が削除されました。本人希望記入欄は残っています。